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イカベンチ 製作記録

news . 2022.03.03

はじめまして。学生アルバイトの三島です。
長くなってしまい、読みにくいかもしれませんがご了承ください。

さて、今回は「ワトコオイルを塗ってみる」で製作中だったベンチが遂に完成しましたので、その制作過程を紹介します!
家具作り初心者の学生がshopbotを使って作ったベンチ製作の記録です。
周りのスタッフの方々に助けてもらいながら作りきることができました。
難しいところ、大変なところも素直に書いていこうと思います。

 

概要

 

今回製作したものは、shopbotを使ったベンチ、通称「イカベンチ」です。
Gooday唐津店の改装オープンに合わせて、店内に設置するベンチの制作依頼を受け制作しました。
最終的には画像のような、丸みのある座面が特徴的なベンチが完成しました。

何が”イカ”ベンチなのか疑問に思っている人が多そうですが、次のデザイン検討で説明していこうと思います。

 

デザイン検討

 

「shopbotを使って面白い形のベンチが作れないか。」
依頼者からの要望を受け、人の手では難しい有機曲線を使った造形を考えていきました。

ここで一つアイデアのきっかけとして出てきたのは「唐津=呼子のイカ」というイメージ。
イカにちなんだ形にしてみるとおもしろいんじゃないかとアイデアを膨らませていきます。

スケッチやMDFとレーザーカッターを使った試作を見て、他のスタッフの方と共に検討しました。

ここで学んだことは、「実現可能か」という観点。
大学でデザインは学んできましたが、木工初心者としては耐久性や組み立て方の感覚がなく、たくさんの指摘をもらいました。
振り返ると、画像右上のイカなんてよく作ろうと思ったなと自分でツッコミたくなりますね(笑)。。。

検討で決まったデザインは、これ、

木の輪っかが連なって座面を作っています。この断面が何かというと、そう、あれです。
「イカリング」です。
由来を聞くと急に庶民感が出て親しみやすくなった気がするのは僕だけでしょうか。

そんなことを考える暇もなく、次は設計です。
上述したように、デザインを「実現させる」ため、考えなければいけないことは山積みです。

 

設計

設計で考えた点は大きく2つ

1.耐久性

2.組み立て方

 

1. 耐久性

今回のベンチは、公共の場に置かれるため十分に安全を確保しなければなりません。
有名なデザイナーズチェアを参考にしてはいけないんですね。
今回のデザインでは、リングを固定する梁の太さを調整したり、足を座面で支えるなどの工夫をしています。

2. 組立て方

shopbotは、はめ合わせを簡単に作れるため、基本的にはボンドとビスで固定していきます。
(実は木材の固定はボンドで強度を持たせているらしいです。ビスは材を締めるだけで強度として計算しなそうです)
複雑な形状になると、打ちやすさや見た目の点でビスの打ち方が難しくなります。またどれだけ簡単に組めるかも重要な観点です。

最終的に作る事になったデザインの模型↓

そうした検証を経て、設計データとshopbot用のVcarbデータを作成します。

フィレットをかける数が多すぎてめんどくさすぎる。。。
データ次第で成功失敗が決まるので、データ作成から緊張します。
何度も見直して、いざ、shopbotの加工に移ります。(ちゃんと後で部品が一つ足りないのが発覚します。)

 

shopbot加工

機械で部品をどんどん切り出していきます。

どんどんどんどん。
出来上がったパーツに一つひとつヤスリをかけてバリを取っていきます。
ベンチを4つ作るので、リングだけで76枚。作業量が尋常じゃありません。

今回のために、ベテランスタッフがルーター台を制作しています。すごい…!
これによって角を取る作業効率がぐんと向上します。

あとは、以前紹介した、ワトコオイルを塗り組み立ての準備が完了です。
本当に部品は少ないに限ります。あと曲線があるとヤスリが倍きつくなります。
デザインと製作しやすさどちらを優先するべきだったか、後悔と葛藤を感じました。

手伝って頂いたスタッフの皆さん本当にありがとうございました。

 

組み立て

実際に組み立てていきます。
梁に一つ一つリングを通して、固定するという地道な作業。

単純な構造ですが、これを一つひとつビス止めするのがとても大変。斜め打ちもあり技術も求められます。
二人で作業して、一つ2時間半ほどかかりました。

ですが、懸念していた強度は十分に出て、安心して座れるものになっています。

組み立てが終わると、最後に仕上げをします。
公共の場で多くの人が使うベンチになります。
棘がないか、引っかかるところがないか調べて、丁寧にヤスリをかけて完成です。

 

完成!

 

モノとして出来上がると圧巻でした。
頭の中で考えていたものが実物になると本当に感動します。

丸いくてかわいいフォルムはもちろんですが、中を覗いたときに見える曲線が並ぶ様が個人的には好きですね。

 

最後に

今回の制作は依頼されたものではありますが、自分が好きなデザインを作らせていただきました。
そして、結果としてとても満足のいくものが出来上がったと思っています。

しかし、このベンチはスタッフの皆さんの力添えがなければ決して実現しませんでした。
家具作り初心者として、素材や強度、加工法など知らないことばかりで、多くのことをスタッフの方々から学ばせていただきました。
自分が作業ができないと作業を進めていただいたこと、この場を借りて感謝申し上げます。

今回のように、ファブラボ太宰府にはものづくりに関してプロのスタッフがいます。
「何か作りたものがあるけど作り方がわからない」という方は一度相談してみてはいかがでしょうか。

ファブラボ太宰府では実際に30分無料の「ものづくり相談」を受け付けています。ぜひご活用ください。

 

また、このベンチは3月4日からGooday唐津店にて設置されております。
ご来店する機会がありましたら座ったり、リングを覗いたりしてみてください!

僕も店舗へに見に行って、ついでにイカ食べてこようと思います。