九州大学芸術工学部計画設計プロジェクト演習 最終発表レポート2017
昨年に引き続き、九州大学芸術工学部の”計画設計プロジェクト演習“講評会へお邪魔させていただきました。
今回の授業でも、学内の工作工房とデジタル工作機械をもつファブラボ、どちらを利用してもいいこととなっており、自分の作りたいものにあわせて施設を利用してました。
” 椅子”もしくは”照明”をつくるのが毎回課題となっております。
2016年10月31日に、ファブラボに来て貰い、レーザーカッターを使い[○と□のみでファブラボの工房を良くする何かを作る]というテーマで製作してもらいました。
ファブラボでの授業では、[トライアンドエラー]を実際に体験してみるというのが1つの目的でした。
レーザーカッターなどのデジタルファブリケーションの良さの1つとして、失敗してもやり直しがしやすいことが挙げられます。
今回はそこを体験して頂こうと思い、○と□のみでデザインしてもらいました。
5時間の授業の中で、ファブラボの工房内を見学し、レーザーの使い方を学び、実際にデザインしていきます。デザイン出来たら早速加工していきます。
最初の1回目では、綺麗に穴にはまらなかったり、想定していた形と違ったりと中々うまくいきません。
2回目でそれなりに形になっていきます。トライアンドエラーの結果できたものがこちらになります。一部ですがご紹介させて頂きます。
ファブラボの施設内に沢山スプレーがあるのですが、いつ開封したか・誰のものかなどの情報が書き込めるプレートを作成しております。
写真の様に、スプレーの底にピタッとはまって抜けないですし、普段は見えないのでとてもスッキリしていいですね!
こちらは、nuroという水性塗料を倒れないようにするためのスタンド。これも大量にラボにあるのですが、よく倒しがちです。
このスタンドがあると、等間隔に整頓でき、全体を移動させたい時も一気に動かせるのでとても便利ですね!
ノコギリやグルーガンなどのハンドツールを有孔ボードに差しているのですが、使用後どこに戻して良いかわからなくなります。
それを解消するために、有孔ボードに差し込めるプレートを作成しております。こちらも実用的でわかりやすく、とても便利ですね!
みなさんご協力どうもありがとうございました!今後取り入れていきたいと思います!
それから約1か月後に、またファブラボ太宰府に来てレーザーカッターを使いにきてくれました。その時の試作品がこちら。
そして工房での作業。
何やら丸をたくさん切り出していますね。
とても丁寧に編み込みされています。
MDFをいくつも重ねて本のようになっていますね。
こちらは、とても丁寧にカンナで削っています。
こうやって丸くしていたんだなと、とても感銘を受けました。
そして、工業設計授業発表当日(1月30日)。
発表する学生6名に対し、見学者が10名程いて中々の緊張感でした。
早速作品の紹介をさせていただきます。
◆鉈落さん[Twist tool]
見る角度で形や内側と外側で陰影が変わるなど、視点のこだわり、気づきがとても良かったです。
試作の時と比べるとほとんど形は変わっていませんが、アイディアスケッチの段階では沢山アイディアをだしていたそう。
◆仲田さん [ビーチチェア]
持ち運び可能な背もたれ調整できるビーチチェアをデザイン。杉の木の良さを活かして肌に直接触れ合う 角度の実験しているのが良かったです。試作のミニチュアのチェアも可愛かったです。
◆堂本さん[ビスケットをイメージした椅子]
ビスケットをイメージして作ったという椅子。ヒモが丁寧に編み込まれていて、とても可愛かったです。また、肘かけの所を杉とヒノキで色味を変えるなど変化をつけていました。
シナがけ合板で曲げ加工をし、それを背もたれ部分に置きクッション代わりにするなど、様々な発想や工夫が盛り込まれていました。
◆内村さん[照明]
だるまおとしをイメージした照明で、重ねて点灯させることもでき、ひとつひとつ独立して点灯もできます。
照明の色も2パターン変えることができます。木の温もりと美しさが見事に表現されているなと思いました。
一見、一本の木をくり貫いているようにみえますが、実はこれ複数の木の板を繋ぎ合わせて丸にしているんです。見学者一同驚きました。冬休みの間もずっと製作していたそうです。
◆王さん[book chair]
同じ大きさのMDFを幾つも重ねてネジ止めしています。立てても座れますが、横に広げることもできます。どちらもとても美しいです。変形するので気分やシーンに合わせて様々な使い方ができそうですね。
◆辜さん[親子で座ることができる椅子]
親子で目線を合わせて座る事ができる椅子というコンセプトの椅子です。使わない時は、大きい椅子の下に小さい椅子を収納できます。
色合いもパンだカラーで可愛いですね。カンナで木を削っている写真があったと思うのですが、この椅子の足の部分を作っています。こうやって丸くしていたんだと驚きました。
その後、コクヨの藤木さんよりコクヨデザインアワード2013受賞作「Stoop」の商品化プロジェクトのお話しがありました。
「Stoop」は屋内外で使えて持ち運びも出来る樹脂製の家具です。駅のベンチにくくりつけられた座布団をみて着想を得たとのこと。
試作で3Dプリンタを使い様々なパターンを出力したり、ベンチや椅子としての機能も持たせられないかなど、試行錯誤しているのが印象的でした。
”商品化”というのが、私たちの想像以上に大変で過酷なものなのだなと改めて実感しました。
そして最後に審査委員による講評。椅子部門と照明部門でそれぞれ1名選ばれます。
椅子部門には、ビスケットをイメージした椅子を作った堂本くんの作品が選ばれ、先ほどのStoopが贈られました。
照明部門は内村くんの作品が選ばれました。照明のyamagiwaさんより、オリジナルのトートバッグが贈られました。
今回授業で作った作品をコンペに応募するとのことで、その後も仕上げの作業やコンセプトをまとめたりとまだまだ作業が続きそうです。
みなさん作品の完成度高くて凄いなと思いました。今回はたまたま見学の大人が多く、その中にプロの方もいらっしゃって色々と意見を貰っているのが印象的でした。
作品を少し面取りするだけで見た目の印象や、面取りをしないといけないという考えがみえるという意見があり、ちょっとしたことですが確かにそうだなととても納得しました。
写真は九大の方よりお借りしたのですが、その時に初めてこういう風に作っていたんだという発見がいくつもありました。
発表の時は、発表時間の制限もあるので仕方ないのですが、作品のコンセプトの説明がメインでした。どうやって作ったんだろう過程がとても気になりました。
今回は、写真をお借りできたので知ることが出来ました。写真をお送りくださった先生方・TAの皆さんありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。
また次回もよろしくお願いいたします!